紡織(ぼうしょく)と養蚕(ようさん)の道具
-糸をつむぐ・布を織る・カイコを育てる-
平成29(2017)年に「精華町の紡織及び養蚕関連用具」が京都府暫定登録有形民俗文化財となりました。また、令和2(2020)年には隣接する木津川市を中心に生産されてきた「相楽木綿」(さがなかもめん)が京都府指定無形民俗文化財に指定されました。
このように精華町とその近隣地域で育まれてきた紡織の文化や技術がいま改めて注目されています。ここでは上記の文化財登録・指定を記念して、精華町内に伝わった紡織・養蚕の道具を、関連する古文書とともに紹介します。
精華町域では、綿作や養蚕がさかんにおこなわれていた時代がありましたが、現在ではその面影はほとんど失われています。この展示を通じて、かつて営まれていた地域の産業や生活文化について、再認識していただけましたら幸いです。
最後になりましたが、この展示掲載にあっては、「相楽木綿の会」をはじめ関係者の方がたから多大なご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。
※この展示は、平成30(2018)年に開催した展示会をもとに再構成したものです。
○糸をつむぐ道具・巻く道具
綿繰り/糸車/綛車(かせぐるま)/糸枠/御光台〔綜割:ふわり〕/糸繰り台〔牛首〕/座繰機〔早繰り〕/座繰機/へそ車
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○布を織る道具
荒筬(ありおさ)/糸綜絖(いとそうこう)〔モジリ〕/筬(おさ)/大和機(やまとばた)/杼(ひ)
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○カイコを育てる道具
種紙/桑切包丁/蚕箔(さんぱく)/給桑台(きゅうそうだい)/藺網編み機(いあみあみき)/麹蓋(こうじぶた)/練炭作り機/蔟折機(まぶしおりき)/毛羽取機
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○繭(まゆ)から糸をとる道具
箱座繰/足踏み座繰機〔ダルマ〕
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主要参考文献
- 奈良県立民俗博物館『大和のはたおり用具』(1989年)
- 京都府立山城郷土資料館『関西文化学術研究都市開発地区緊急民俗調査報告書』(1990年)
- 京都府立山城郷土資料館『相楽木綿―南山城の木綿と綿作―』(2004年)
- 京都府立山城郷土資料館『相楽木綿10年のあゆみ―復元と伝承の取り組み―』(2016年)
- 京都府立山城郷土資料館『京都スタイル―民具で巡る多文化京都―』(2020年)
- 奥村萬亀子『京に「服飾」を読む』(染織と生活社、1998年)
- 横出洋二「山城・丹波の大和機について」(『山城郷土資料館報』第26号、2019年)
- 京都府養蚕業組合聯合会『京都府蚕糸業組合五十年史』(1935年)
- 京都府立総合資料館『京都府統計史料集』(1970年)
- 愛知県教育委員会『養蚕民俗資料緊急調査報告』1(1976年)、2(1977年)
- 岐南町歴史民俗資料館『民俗資料集』Ⅰ(1982年)
- 京都府立丹後郷土資料館『丹後の紡織』Ⅰ(1985年)、Ⅱ(1986年)
- 京都府立丹後郷土資料館『蚕業遺産×ミュージアム―蚕都がつむいだ文化財の新たな価値と可能性―』(2019年)
- 福知山市文化資料館『福知山市文化資料館資料収蔵目録』第2集養蚕(1986年)
- 京都府蚕糸同友会『京都府蚕糸業史』(1987年)
- 京都府蚕糸同友会『写真集 京都府の蚕糸具』(2017年)
- 三和町郷土資料館『カイコのいる村―山里の養蚕史―』(1995年)
- 亀岡市文化資料館『気が付けばなくなりつつある民俗技術 養蚕―カイコと桑と繭と―』(2008年)
- 福知山市ふるさと文化再興実行委員会『福知山の養蚕―今に残る三軒の養蚕農家の記録―映像記録解説書』(2010年)
- 大日本蚕糸会蚕業技術研究所『養蚕』(2010年)
- 石井寛治・林玲子編『近世・近代の南山城―綿作から茶業へ―』(東京大学出版会、1998年)
- 井奥成彦・谷本雅之編『豪農たちの近世・近代―19世紀南山城の社会と経済』(東京大学出版会、2018年)
- 『山田荘村誌』(1935年)
- 『精華町史』本文篇(1996 年)、史料篇Ⅱ(1992 年)
- 『せいか歴史物語 デジタル版』(精華町、2018 年)
- 『木津町史』本文篇(1991 年)、史料篇Ⅲ(1987年)