糸をつむぐ道具・巻く道具

綿繰り(わたくり)
綿繰り(わたくり)
種の入った実綿(みわた)を、綿毛(わたげ)の繊維(せんい)と種とに分ける道具です。
ローラーのあいだに実綿を入れて、ハンドルを回すと、綿毛はローラーを通りこしますが、種はローラーを通らず手前に落ちます。

整理番号:645 採集地:東畑郷土資料館
備考:説明ラベル「№11 綿くり機」、墨書「昭和拾八年木津玉谷農具ニテ購入」


糸車(いとぐるま)
糸車(いとぐるま)
綿から糸をつむぐ〔糸を作る〕作業で使いました。右の車と左のツム(紡錘)という軸(じく)とをヒモでつなぎます。そして、綿の筋(すじ)の先をツムにとりつけ、左手で綿の繊維を引きのばしながら、右手でハンドルを回して車を回転させると、ツムもつられて動くので、この力を利用して綿から引き出した繊維の筋に縒(よ)りをかけて糸にしていきます。

整理番号:1749 採集地:菱田滝ノ鼻


綛車(かせぐるま)

綛車(かせぐるま)
綛(かせ)とは、糸を巻きとってたばねたものをいいます。色を染(そ)めるときなど、綛糸は作業がしやすく便利です。Xの形をした枠(わく)に糸を巻きとって綛にしていきます。

整理番号:644 採集地:東畑郷土資料館
備考:説明ラベル「№2 滑車付き糸くり機」、墨書「南山城国相楽郡東畑村」


糸枠(いとわく)
糸枠(いとわく)
糸を巻きとるための木枠(きわく)です。
使い方によって大きさに違いがあります。
持ち主の名前や住所、年代などが墨(すみ)で書かれているものも多くみられます。

整理番号:487-16 採集地:東畑郷土資料館 備考:墨書「明治三拾年」「壱月新調之」
整理番号:483 採集地:(柘榴) 備考:墨書「柘榴伊藤商店」
整理番号:1750 採集地:菱田滝ノ鼻
整理番号:488-2 採集地:北稲八間?(東畑郷土資料館) 備考:墨書「明治廿九年」「十月一日」「北稲」


御光台(ごこうだい) 〔綜割:ふわり〕
御光台(ごこうだい) 〔綜割:ふわり〕

綛糸から必要な量の糸を糸枠に巻き移すとき、綛糸をかける道具です。割り竹を組んだ1対の羽根(はね)の先端に糸を張ってつなぎ、そこに綛糸をかけます。

整理番号:1403本体、1395台 採集地:川西小学校
備考:台の側面墨書「□□五年壱月吉日」


糸繰り台(いとくりだい) 〔牛首:うしくび〕
糸繰り台(いとくりだい) 〔牛首:うしくび〕
糸枠に糸を巻きとるために使います。
糸繰り台の支柱(しちゅう)に差しこまれた腕木(うでぎ)に糸枠を差しこみます。御光台(綜割)にかけた綛糸を引き出して、糸繰り台の糸枠に糸を巻きとります。突き出た腕木の形から「牛首」ともよばれます。

整理番号:278 採集地:東畑郷土資料館


座繰機(早操り)
座繰機(ざぐりき) 〔早繰り:はやくり〕
座繰機(ざぐりき) 〔早繰り:はやくり〕
糸枠に糸を巻きとるための道具です。
御光台(綜割)にかけた綛糸を引き出し、座繰機(早繰り)の横棒にはめこんだ糸枠につけ、ハンドルを回して糸枠を回転させて糸を巻きとります。
使い道は「糸繰り台」(牛首)と同じですが、木製の歯車を用いて回転の効率が高まっています。

整理番号:653(糸枠付属) 採集地:南稲八妻
備考:焼印「棹(ヵ)上 車太」、台側面墨書「明治三拾弐年十月求之」、糸枠墨書「明治廿八年五月購求之」


座繰機(ざぐりき)
座繰機(ざぐりき)
糸枠に糸を巻きとるときに使います。
使い道は「早繰り」と同じですが、写真の座繰機は歯車の部分が金属でできています。

整理番号:654 採集地:東畑


へそ車
へそ車
江戸時代、奈良の特産品である奈良晒(ならざらし)が、南山城(京都府南部)でも生産されていました。奈良晒は、麻糸(あさいと)から生平(きびら)とよばれる麻布(あさぬの)を織り、これを灰汁(あく)で炊いたのち、水洗いと天日干しをくり返して漂白(ひょうはく)したものです。
「へそ車」は、奈良晒を織るのに使う麻糸の緯糸(よこいと)を巻く道具です。車から突き出た棒の金具に糸をひっかけ、ハンドルを回して、糸を管(くだ)に巻いていきます。麻糸が乾燥しないように水にくぐらせて巻きとります。
へそ車が残されていることから、かつて精華町内で奈良晒(生平)が織られていたことがうかがわれます。

整理番号:281

コラム 綿から糸へ  

コラム 古文書にみる近世精華町域の綿作 

コラム 綿実と井手の水車