布を織る道具
荒筬(ありおさ)
機織り(はたおり)の前に、経糸(たていと)の端(はし)を「ちきり」という棒に巻きつけますが、そのとき経糸の巾(はば)や間隔がそろうよう、荒筬のすき間に経糸を通して調整します。
写真の荒筬は江戸時代のもので、天保15(1844)年、弘化4(1847)年の墨書(すみがき)があります。
整理番号:494 採集地:東畑郷土資料館
備考:墨書「天保拾五年」、「弘化四未年細工□□」、「ひしはたむら」、「□□東畑村」
糸綜絖(いとそうこう) 〔モジリ〕
綜絖(そうこう)は、経糸の上糸と下糸を上下にひっぱり、緯糸(よこいと)を通すすき間を開く〔開口:かいこう〕ために使います。上糸用と下糸用の2つの綜絖をセットで用い、綜絖にたくさんついている細かい糸輪のなかに経糸を通します。機(はた)のペダルを踏むと綜絖が連動し、経糸の上糸と下糸との間が開きます。
整理番号:495-2 採集地:(東畑郷土資料館)
備考:貼紙墨書「尺四(ヵ)寸巾 七十(ヵ)弐ト」
整理番号:495-3 採集地:(東畑郷土資料館)
備考:貼紙墨書「尺四寸巾 七十五ト」
筬(おさ)
筬は、緯糸を打ちこむために使う道具です。
綜絖に通した経糸を、さらに筬の櫛歯(くしは)のような細いすき間の一つ一つに通して整え、機にとりつけます。昔は写真のような竹で作られた筬が使われましたが、現在は金属製の筬が多く用いられます。
整理番号:493-5 採集地:東畑郷土資料館
備考:天地墨書「明治四十二年八月廿□日求之」「五十五ト 十一ヨミ」「四十二年八月廿八日求之」「五十五ト ヨ□十一」
整理番号:493-25 採集地:(東畑郷土資料館)
備考:両側柱墨書「六六」、天地墨書「□□□□□□ 尺四寸」「六十六ト 尺[ ]」「上狛村」
大和機(やまとばた)
機とは布(ぬの)を織る道具のことです。経糸をかける部分がななめに傾いた機は、大和地方(奈良県)を中心に使われたので大和機とよばれ、南山城(京都府南部)でもよく使用されました。
経糸を水平にかける高機(たかばた)にくらべ、大和機ではやわらかな風合い(ふうあい)のよい布が織れるといわれ、相楽木綿(さがなかもめん)を織るときも使われました。
写真の大和機は焼印(やきいん)から、奈良の毘沙門町(びしゃもんちょう)の職人によって作られたことが分かります。
整理番号:16 備考:焼印「なら ひさ門町 はた佐」
杼(ひ)
機織りのとき、緯糸を経糸に通すのに用いられました。まん中のへこんだ部分には巻いた緯糸をおさめました。
整理番号:1752-4 採集地:菱田滝ノ鼻
整理番号:1752-5 採集地:菱田滝ノ鼻 備考:焼印「[九に山印]」
機に付属する道具