綿から糸へ
綿を育てる
綿は5月に種まきをすると、7月後半ごろから花が咲きはじめます。花が落ちると、次第に桃の実のような形をした朔(さく)にふくらんでいきます。開花してから1か月ほどで朔がはじけて綿が吹きます。
芽が出る
背がのびる
花が咲く
朔がふくらむ
綿が吹く
摘みとった綿
綿毛のなかに種が入っています
綿から糸をつむぐ
摘みとった綿〔綿花:めんか〕は、種をぬき〔綿繰り:わたくり〕、綿毛をほぐした〔綿打ち:わたうち〕のち、糸車を使って繊維に縒(よ)りをかけて糸に仕上げていきます〔糸紡ぎ:いとつむぎ〕。
綿繰り機(わたくりき)のハンドルを回すと、ローラーから綿毛だけが出てくる
綿繰り機のローラーの手前で綿の種は落ちる
綿打ち弓(わたうちゆみ)の弦(げん)に綿毛をからませ、弦を振るわせることで、繊維の筋をほぐす
糸車のツム(紡錘)にとりつけた綿から繊維を引き出す
糸車を回して繊維に縒りをかけ糸にする
糸を巻く
つむいだ糸は、巻きとってひとかたまり〔綛:かせ〕にたばねました。また、色染めや機織り(はたおり)をするときは、必要な量の糸を糸枠(いとわく)に巻きとり、準備しました。糸を巻きとる道具は、使い道や改良によってさまざまなタイプのものが作られました。
御光台(ごこうだい)に糸をかける
糸車を回して御光台から糸を巻きとる
糸を染める
布(ぬの)に柄(がら)を入れる方法は、織る前に糸を染める方法〔先染め:さきぞめ〕と、織った後に布に型染めをする方法〔後染め:あとぞめ〕があります。
相楽木綿(さがなかもめん)の代表的な柄である絣(かすり)〔ところどころに糸の色がかすれたような模様がある〕は、先染めの方式をとり、糸を染める前に、織物のできあがりの柄をあらかじめ計算して、色を染め分ける部分を別の糸でくくって染料(せんりょう)がしみこまないようする絣括り(かすりくくり)の作業を行ってから、糸を染めます。
糸を染める作業は、専門の職人である紺屋(こうや・こんや)がおこないました。江戸時代から明治時代には精華町内にもいくつかの紺屋がありました。
絣括り(かすりくくり)
緯糸(よこいと)を糸枠(いとわく)に巻きつけ、絣の柄(がら)をつけたい部分を別の糸でくくります。くくった所は色が染まりません。糸枠に一周巻いた糸の長さは、布の織り巾(はば)一往復の長さに相当します。
緯糸〔写真では両手でひっぱっている糸〕は、絣括りをした部分は白く残り、しなかった部分は紺色に染まっています
※撮影協力:相楽木綿伝承館