せいか舎コラム

かまど

下狛(しもこま)の民家(みんか)のかまど

昭和61(1986)年撮影

2点の写真は同じかまどを別(べつ)の向きから撮影(さつえい)したものです。タイルばりのかまどで、釜(かま)が2つ、フタをのせた焙烙(ほうらく・ほうろく)が1つみえます。

写真には写っていませんが、反対がわに焚(た)き口があります。

戸の上には神棚(かみだな)があり、荒神松(こうじんまつ)や七福神像(しちふくじんぞう)〔布袋:ほてい〕がまつられています。

また、柱(はしら)や壁(かべ)には火伏(ひぶ)せの神である愛宕神社(あたごじんじゃ)や秋葉神社(あきはじんじゃ)などの御札(おふだ)がたくさん張(は)ってあります。

むかしは木でできた家が多く、火事をとてもおそれたため、神仏(しんぶつ)をまつって火事が起きないよう祈(いの)りました。

精華町内(せいかちょうない)では、地区の代表の人が愛宕山に登り愛宕神社の御札と樒(しきび)を授(さず)かる代参(だいさん)が広くおこなわれていました。

所蔵者のお話
昔のわが家〔写真〕は、お客さんは玄関(げんかん)から庭を通って、格子状(こうしじょう)の戸を通り、かまどの部屋を通りました。神棚(かみだな)の下にある戸の向こうが奥(おく)です。
神棚には愛宕神社(あたごじんじゃ)をまつっていましたが、「荒神(こうじん)」をまつるとも聞いたことがあります。
〔写真を見ると神棚に布袋(ほてい)のような像(ぞう)が写っているのは〕七福神(しちふくじん)をまつっていました。七神それぞれに〔家の中で〕持ち場があるとのことです。
体験者の声(1)
わたしの家では台所にも神棚(かみだな)があり、愛宕(あたご)さん・荒神(こうじん)をまつり、布袋(ほてい)さん(3点)もまつっています。座敷(ざしき)には氏神(うじがみ)などをまつる神棚が別(べつ)にあります。
体験者の声(2)
下狛(しもこま)の僧坊(そうぼう)地区では近年まで京都の愛宕神社(あたごじんじゃ)へ代参(だいさん)に行っていました。
わたしも2度代参に行きました。〔昭和30年代ころ〕18歳(さい)くらいのとき代参に行きましたが、当時僧坊で100軒(けん)くらいの家があったので、樒(しきび)を100本もらってくるとかなりの量(りょう)になり、バスに乗って帰るのがはずかしかったことをおぼえています。
愛宕山では登る時に樒を100本たばねておいてもらうようにたのんでおき、帰りに受け取りました。
体験者の声(3)
愛宕山(あたごやま)でもらってきた樒(しきび)の枝(えだ)を細かく切って、仕込(しこ)んである味噌桶(みそだる)に入れると香(かお)りづけになりました。