せいか舎コラム

繭から絹へ

製糸(せいし) ~繭(まゆ)から生糸(きいと)をつむぐ~

繭から生糸を作る工程を製糸といいます。鍋で繭を煮て、糸を引き出し、座繰(ざぐり)などの道具を使って糸枠(いとわく)に巻きとります。そして、糸を巻き直して乾燥させ、たばねて綛(かせ)にします。繭から糸を引き出す作業は、多くの場合、女性の仕事でした。

カイコ(蚕)を育てて繭をおさめた農家は、みずから製糸の作業をおこなうこともありましたが、年代が下るにつれ、専門の製糸場に繭を売る形が中心となっていきました。

繭のなかには生きた蛹(さなぎ)が入っており、そのままでは蛾(が)に成長し、繭を破ってしまいます。繭を長期間保存するために、蛹を乾燥させる必要があり、乾燥場が各地に設けられました。




生糸
撚糸(ねんし)と精練(せいれん) ~染めや織りができる糸に加工する~

繭からとり出した生糸は細いので、何本か合わせて撚(よ)りをかけて撚糸に加工します。

そのままでは、糸にセシリンというタンパク質が含まれ、色染めを妨げるので、石けんなどを入れた湯でゆでて、セシリンを落とします。この作業を精練とよびます。

精練には、織る前の糸のときにおこなう先練(さきねり)と、布を織ったあとにおこなう後練(あとねり)がありました。生地に細かいシワがある縮緬(ちりめん)や、肌ざわりのなめらかな羽二重(はぶたえ)などは、後練による絹織物(きぬおりもの)です。


撚糸
玉繭(たままゆ)・屑繭(くずまゆ)の加工 ~真綿(まわた)・紬糸(つむぎいと)を作る~

2頭のカイコがいっしょに1つの繭を作った玉繭や、不良品の屑繭は、通常の生糸を作るのには向かないので、煮てやわらかくしたのち、水を張ったたらいのなかで引きのばして枠木にかけ、真綿を作りました。

真綿は軽くて暖かいので、冬の着物やふとんに用いられました。また、真綿から引き出して紬糸を作ることもありました。紬糸を使った紬織(つむぎおり)は、独特の風合いが好まれました。

精華町山田荘地区周辺では、屑繭の糸を使って自家用の羽二重を織ることもありました(奥村萬亀子『京に「服飾」を読む』291~292頁)