せいか舎コラム

村の職人(しょくにん) 桶屋(おけや)さん

おひつ

このおひつは、下狛(しもこま)の舟(ふね)地区の桶屋職人が大正9(1920)年に作ったものです。明治時代に大阪(おおさか)で修行(しゅぎょう)した後、地元で桶屋をはじめました。息子(むすこ)も桶屋を受けつぎ、昭和30(1955)年ごろまで舟地区で営業(えいぎょう)していたそうです。

ふつうの桶(おけ)やおひつのような小さなものから、牛のえさ桶・風呂(ふろ)・棺桶(かんおけ)〔座棺:ざかん〕のような大きなものまで作り、桶の輪(わ)〔たが〕を交換(こうかん)するためリヤカーで村むらを回っていたそうです。

道具の製作(せいさく)や修理(しゅうり)を担(にな)った村の職人にまつわる思い出話も大切に伝(つた)えていきたいものです。

個人蔵(下狛舟) 備考:底墨書「大正九年二月一日」